カテゴリー
ファクタリングについて解説した漫画を公開しました!! 漫画を見る

売掛金とは?経理処理・簿記の仕訳をわかりやすく解説

当ページのリンクには広告が含まれています。

会社のお金の管理をする経営者や経理担当者などは、簿記のルールに従って経理処理をする必要があります。例えば、簿記の勘定科目の一つに売掛金という項目がありますが、どのような扱い方をするのかがわからない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、売掛金の特徴や計上・回収などの仕訳のやり方を丁寧に解説します。ぜひ役立ててください。

目次

売掛金とは

売掛金とは、後払いを前提にした取引で商品・サービスを販売したときに用いられる勘定科目です。売掛金は売上の対価であり、販売した商品・サービスの代金を期限内に支払ってもらう権利のことです。信用取引によって後払いの支払いを受ける権利のことを売上債権と呼びます。

なお、信用取引や債権に関する解説は後述します。一般的に、取引先と継続的に取引する前提がある場合に、帳簿上で売掛金として処理するのが基本です。

関連用語1:信用取引

信用取引とは、取引先との信頼関係を担保にして行う取引のことです。信用取引で発生した売上は帳簿上で売掛金として扱われます。信用取引は掛け取引とも呼ばれています。信用取引は、取引先の信用がなければ成り立ちません。

関連用語2:債権

債権とは、特定の相手に対して行為や給付を請求できる権利のことです。例えば、売上債権は、取引先に商品・サービスの代金を請求できる権利を指します。一方で、債務とは特定の相手に行為や給付を提供しなければならない義務を指します。

売掛金と混同されやすい用語との違いを解説

簿記の勘定項目の中で、売掛金と混同されやすいものがあります。以下では、それぞれの違いを解説します。

買掛金との違い

買掛金とは、商品・サービスなどを購入したときに生じる代金のうち、未払い分を指します。一般的に、信用を担保に行う掛け取引で、商品などを仕入れた場合に発生する勘定科目です。

売掛金は売上債権と呼ばれており、支払いの義務はありません。一方で、買掛金は仕入債務と呼ばれ、支払いの義務が発生します。

未収入金との違い

未収入金とは、営業活動を除いた取引で発生した代金のうち、未回収分の代金を意味する用語です。一般的に、未収入金は金銭債権と呼ばれています。

未収入金の例として、建物などの不動産の売却代金や、売却した有価証券の未回収分などがあげられます。未回収分の代金があるのは、売掛金と共通する点です。

しかし、売掛金は営業活動にかかわる未払金のみを指しており、未収入金は売掛金以外の未払金を意味する勘定科目です。

前受金との違い

前受金とは、商品の受け渡し前に受け取った手付金のことです。売掛金は商品・サービスの代金を受け取る権利を表す勘定科目で、前受金はすでに受け取った代金の一部を意味する勘定科目です。

仮払金との違い

仮払金とは、すでに支払いが済んでいるものの、どのような目的で使用されたのか、具体的な用途を確認する前に一時的に使用する勘定科目のことです。売掛金は売上債権というように用途が明確ですが、仮払金は具体的な用途が確定していない(もしくはわからない)支出を指します。

立替金との違い

立替金とは、一時的に代金の立て替えを行ったときに使用する勘定科目です。いずれ手元に支払われる費用という意味では売掛金と似ていますが、売掛金は立て替えの処理はできません。取引先が支払うべき送料などを立て替えた場合は、立替金で処理します。

売掛金の処理の流れを確認

売掛金として帳簿で処理を行う際の流れをくわしく解説します。

  1. 売掛金の計上
  2. 売掛金の入金・消し込み
  3. 売掛金残高の確認
  4. 期末の処理

流れ1:売掛金の計上

売掛金の処理は帳簿に計上することから始まります。売掛金は、商品・サービスなどが売れたときに発生します。売掛金を処理する際は、まず振替伝票に仕訳を記入し、売掛金元帳に転記するのが基本のルールです。

流れ2:売掛金の入金・消し込み

売掛金の計上後は、取引先から売掛金が入金されるのを待ちます。入金を受けたら、入金伝票に仕訳を記載し、再度売掛金元帳に転記しましょう。

売掛金の入金を確認した際に行う処理のことを消し込みと呼びます。売掛金元帳の帳簿上では、未払いの代金として処理した売掛金を消す作業を行います。

流れ3:売掛金残高の確認

入金・消し込みの作業後は、定期的に売掛金の残高を確認する必要があります。当月中に回収予定の売掛金のうち未回収の代金がないか、売掛金の記載漏れや金額の間違いなどがないか、などをチェックします。

売掛金の残高の確認は、売掛金残高一覧表を使用し、1カ月や半年などのように期間を決めて行いましょう。

流れ4:期末の処理

売掛金の残高を定期的に確認し、期末を迎えると、期末残高を貸借対照表の流動資産の部に記載します。

【実例あり】売掛金の仕訳を解説

売掛金の仕訳のやり方がわからない方もいらっしゃるでしょう。以下で仕訳の実例を紹介します。

売掛金の計上

ここでは、売掛金を計上する処理が必要になった場合の具体的な仕訳を紹介します。

売掛金 100,000円 売上 100,000円

上記の仕訳を記載するのは、自社の商品・サービスの売上が発生した際に、代金の支払いを現金などで受け取っていない場合に行います。ただし、売掛金として仕訳できるのは掛け取引によって売上が発生した場合に限られるので注意しましょう。

売掛金の回収

売掛金の入金・消し込み作業を行うのは、取引先からの入金を確認したタイミングで、次のように仕訳を記載します。

普通預金 100,000円 売掛金 100,000円

なお、売掛金から振込手数料が引かれている場合は、以下のような仕訳になります。

普通預金 99,500円 売掛金 100,000円
支払手数料 500円

売掛金の一部回収

先に計上した売掛金100,000円のうち、70,000円が先に入金されたケースを例に紹介します。仕訳は、次のように記載します。

普通預金 70,000円 売掛金 70,000円

上記の仕訳を行うのは、取引先から入金された売掛金の一部が口座に入金された場合です。入金額が100%ではなく、一部のみだった場合は、上記と同じ仕訳で処理しましょう。

売掛金の値引き

先に計上した売掛金のうち、5,000円を値引いた残額について入金された場合の仕訳は以下のとおりです。

普通預金 95,000円 売掛金 100,000円
売上値引き 5,000円

売上の返品

ここでは、すでに計上した売上100,000円のうち、10,000円分の返品があった場合を例に紹介します。

売上戻り(売上戻り高・売上返品) 10,000円 売掛金 10,000円

売上の返品処理を行うのは、販売した商品・サービスの品質などに問題があり、取引先から返品の依頼を受けた場合です。

買掛金との相殺

売掛金と買掛金の相殺処理を行う場合の仕訳は、次のように記載します。ここでは、売掛金と同額の買掛金を相殺する場合を例に紹介します。

買掛金 100,000円 売掛金 100,000円

売上の計上先と仕入先が同じ場合は、買掛金と相殺することで売掛金の支払いとすることが可能です。

クレジットカード決済の手数料が発生した場合

ここでは、クレジットカード決済による売上が発生し、決済手数料として1,500円をクレジットカード会社に支払うことを前提にした例を紹介します。

クレジットカード売掛金 98,500円 売上 100,000円
支払手数料 1,500円

上記の仕訳を行うのは、クレジットカード決済による売上と支払手数料が発生した場合です。

売掛金の回収不能

売掛金を回収できなかった場合を例に紹介します。具体的な仕訳例は次のとおりです。

貸倒引当金 100,000円 売掛金 100,000円

上記の仕訳をするのは、契約で決められた支払期日までに取引先から入金がなかった場合です。貸倒引当金を設けていない場合は、貸倒損失勘定で処理することになります。

売掛金を管理する重要性

売掛金は未回収となるリスクがあります。売掛金の未回収を放置すれば、自社が倒産することもあるため、管理を徹底しなければいけません。

回収不能に備える方法とは

売掛金の回収不能のリスクに備えるには、定期的に売上債権の回転率・回転期間を確認する必要があります。

売上債権回転率とは、売上高に対する売上債権の割合を示す指標です。算出する際は、売上高÷売上債権で計算できます。

一方で、売上債権回転期間とは、売掛金の発生した時点から、商品などの代金が入金されたことを確認する時点までの期間のことで、月数もしくは日数で示されます。計算式は、売上債権回転期間=売上債権÷(売上高÷12カ月もしくは365日)です。

この他、売掛金が回収不能になることを想定して、売掛保証サービスなどを利用するのも一つの方法です。

資金繰りの悪化を改善する方法とは

売掛金が回収不能になっているなど、自社の資金繰りの悪化を改善する方法として、ファクタリングと呼ばれるものがあります

ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛金(売上債権)を買い取ってもらえるサービスです。所定の手数料を支払って売掛金を買い取ってもらうことで、支払期日よりも前に現金化できます。売掛金が回収不能になる前にファクタリングを利用することで、未回収リスクを軽減できるでしょう。

まとめ

売掛金は、掛け取引で商品・サービスの代金の売上が生じた場合に処理を行う必要があります。未回収のまま放置し続ければ、未回収による資金繰りの悪化などのリスクが高まります。

ファクタリングを利用すれば、売掛金の未回収リスクを軽減できるだけでなく、資金繰りの悪化を改善できます。手数料はかかりますが、スピーディに売掛金を現金化できるので必要に応じて利用を検討するといいでしょう。

記事のシェアはこちらから
目次