ファクタリングの人気とその裏側
近年、資金繰りの柔軟な手段として注目されている「ファクタリング」。売掛債権を資金化することで、即時のキャッシュフロー改善が可能となり、多くの中小企業や個人事業主に活用されています。
しかし、ファクタリングには「メリット」だけでなく、「デメリット」も存在します。安易な利用は、思わぬリスクを招く可能性があるため、事前に注意点を把握しておくことが不可欠です。
この記事では、ファクタリングの主なデメリットとその対策方法、さらに安全に利用するためのチェックポイントを詳しく解説します。これから利用を検討している方にとって、有益な情報を提供します。
ファクタリングとは?簡単なおさらい
ファクタリングとは、売掛金(請求書)をファクタリング会社に売却することで、支払期日前に現金を調達できる資金調達手段です。
主に以下の2種類があります。
- 2社間ファクタリング:売掛先に通知せず、利用者とファクタリング会社のみで契約。
- 3社間ファクタリング:売掛先も関与し、取引の透明性が高まる。
さらに、「ノンリコース(償還請求権なし)」と「ウィズリコース(償還請求権あり)」など、契約形態も複数存在します。
では、そのような便利な手段に、どのようなデメリットが潜んでいるのでしょうか?

ファクタリングのデメリット7選|知らなきゃ損する注意点とは?
1. 高額な手数料で利益を圧迫するリスク
ファクタリングの最大のデメリットは「手数料が高い」ことです。2社間では10〜30%、3社間でも1〜10%の手数料がかかるため、資金繰りには役立っても、利益率を大きく下げてしまう可能性があります。
対策:
複数のファクタリング会社に見積もりを取り、相場を把握したうえで手数料が適正な業者を選びましょう。過度な利用は避け、あくまで緊急時の手段としましょう。
2. 繰り返し利用で資金繰りが悪化する可能性
「即日で現金化できる」という利便性から、資金不足のたびにファクタリングを繰り返す企業も少なくありません。しかし、それでは根本的な資金繰りの改善にはなりません。
対策:
ファクタリングは一時的な資金ショートの補填として使い、長期的にはビジネスモデルや固定費の見直し、売上アップによる自力回復を目指しましょう。
3. 売掛先にバレる可能性と信用悪化(3社間)
3社間ファクタリングは売掛先に通知されるため、「資金難なのでは?」と信用不安を抱かれる恐れがあります。特に大手取引先との関係においては注意が必要です。
対策:
売掛先との関係が重要な場合は、通知不要な2社間ファクタリングを選ぶのが賢明です。ただし、手数料は上がる傾向にあるため、条件をよく比較しましょう。
4. ファクタリング会社選びを誤るとトラブルに
ファクタリング業界は、まだ規制が整いきっていない分野であり、中には違法業者(ヤミ金まがい)も存在します。法外な手数料や、不透明な契約でトラブルになる事例も報告されています。
対策:
- 「債権譲渡登記が強制でないか」
- 「契約前に手数料が明示されているか」
- 「ファクタリング会社の運営歴・評判」
上記のようなポイントをチェックし、信頼できる会社のみを利用しましょう。
5. 債権譲渡登記で情報が外部に漏れる恐れ
債権譲渡登記は、ファクタリング契約の一部として行われることがありますが、この情報は登記簿で誰でも確認可能です。「資金繰りが厳しい企業」という印象を周囲に与えるリスクがあります。
対策:
非公開型のファクタリングを選ぶ、または登記不要の契約形態を交渉することが望ましいです。
6. 審査に通らないケースも存在
ファクタリングの審査は銀行融資より緩やかとはいえ、必ずしも通過できるわけではありません。特に売掛先の信用状況が悪い場合や、請求書が不正確な場合は断られる可能性があります。
対策:
売掛先の信用状態や支払遅延履歴をチェックし、ファクタリング会社に提出する書類の正確性を確保することが審査通過のカギです。
7. 契約形態によっては返済義務が発生する
ノンリコース契約では売掛先が倒産しても返済義務は発生しませんが、ウィズリコース契約では債権回収不能時に返済義務が発生します。この違いを理解していないと、大きな損失につながります。
対策:
契約書をよく確認し、「ノンリコース」か「ウィズリコース」かを把握したうえで契約を進めましょう。わからない場合は弁護士や専門家に相談するのも有効です。
ファクタリングのデメリット比較表
デメリット内容 | 影響度 | 対応策 |
---|---|---|
手数料が高い | ★★★★★ | 複数見積もりで比較 |
信用悪化の可能性 | ★★★★☆ | 2社間利用・登記回避 |
業者トラブル | ★★★★☆ | 会社の信頼性を調査 |
利用依存 | ★★★☆☆ | 長期的な経営改善を優先 |
安全にファクタリングを利用するためのポイント
- ✅ 正規のファクタリング会社を選ぶ(金融庁届出・運営実績あり)
- ✅ 契約内容(登記、返済義務、手数料)を細かく確認
- ✅ 無理な頻度での利用を避ける
- ✅ 事前に資金計画・返済計画を立てる
- ✅ 税理士・資金調達コンサルなど専門家の意見を取り入れる
【FAQ】ファクタリングのデメリットに関するよくある質問
- 1. ファクタリングは違法ではないですか?
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ファクタリング自体は合法です。ただし、実質ヤミ金のような高利業者には注意が必要です。
- 2. ファクタリングは審査がないって本当?
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審査はあります。ただし、借入とは違い「売掛先の信用」が主な審査対象となります。債務者自身の信用情報が悪くても利用できる場合があります。
- 3. 債権譲渡登記は避けられますか?
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ファクタリング会社によっては、登記不要の契約が可能です。ただし、手数料が高めになることもあるため、条件を比較しましょう。
- 4. 個人事業主でもファクタリングは使えますか?
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はい。個人事業主向けのファクタリングサービスもあります。ただし、法人に比べて審査が厳しい傾向にあるため、過去の取引実績や売掛先の信用度が重要となります。
- 5. ファクタリングを使わない方が良いケースとは?
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長期的に資金繰りが悪化している企業、売掛金の発生が不定期なビジネス、返済計画が立っていないケースでは不向きです。根本的な経営改善が必要です。
まとめ|ファクタリングのデメリットを正しく理解して活用しよう
ファクタリングは、即日資金調達が可能で、借入に依存せずに資金を得られる有効な手段ですが、高額な手数料や信用悪化のリスク、契約形態の複雑さといったデメリットも数多く存在します。
安易な利用は逆に資金繰りを悪化させる原因になります。この記事で紹介した注意点を踏まえ、信頼できるファクタリング会社の選定と、適切な利用計画をもって活用することが、事業継続と成長への第一歩です。