資金調達手段として近年注目されている「ファクタリング」。特に中小企業や個人事業主にとって、銀行融資よりもスピーディに資金を確保できる手段として広がりを見せています。本記事では、「ファクタリング会社」を選ぶ際のポイントや注意点、よくある質問を交えて詳しく解説します。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(未回収の請求書)をファクタリング会社に売却することで、早期に現金化できる資金調達手段です。資金繰りを改善したい時や急な資金需要に対応する際に有効です。
ファクタリングの基本的な仕組み
- 2社間ファクタリング:売掛先に通知せず、ファクタリング会社と利用者の2社間で完結。
- 3社間ファクタリング:売掛先にも通知し、3社間で契約。信頼性は高まるが手間がかかる。
ファクタリング会社の選び方【失敗しない5つの視点】
ファクタリング会社選びは、資金調達の成否を左右する重要なステップです。以下の視点から信頼できる会社を選びましょう。
手数料とその仕組みを詳しく比較
ファクタリング会社によって、提示する手数料の仕組みは異なります。例えば「3%~15%」という幅で示される場合でも、以下のような条件で実質的に割高になるケースがあります。
- 「最低手数料+事務手数料」など複数費用がかかる
- 審査に時間がかかり、結果的に急ぎの資金繰りに対応できない
- 長期契約を条件に手数料を安く見せている
ポイント: 数社から見積もりを取り、「総費用がいくらになるか」をシミュレーションすることが肝心です。
対応スピードと柔軟性をチェック
資金繰りの逼迫時には「即日資金化」が可能かどうかが大きな判断材料となります。優良なファクタリング会社は以下のような対応をしてくれます。
- 即日審査・入金に対応(オンライン完結型も多数)
- 土日・夜間も相談可能
- 担当者のレスポンスが早く説明が明確
一方で、担当者と連絡が取りにくい、書類提出後に対応が鈍るといった会社は、トラブルが発生しやすい傾向にあります。
実績・取引先企業の開示
ホームページ上に「過去の取引実績」や「取引先の業種例」などがあるかどうかも、判断基準の一つです。以下の点をチェックしましょう。
- 取引社数や年間件数が公開されているか
- 建設業・医療業界など、自社と近い業種への対応例があるか
- 導入事例や口コミがリアルかどうか(自作レビューには注意)
契約条件とリスクの明示
契約書類をしっかり提示してくれるか、重要事項説明がなされるかは非常に重要です。次の点を特に注意して確認しましょう。
債権譲渡通知の扱い(2社間・3社間の違い)
ノンリコース(償還請求権なし)かリコース(買取代金の返済義務あり)か
契約解除時の条件や違約金の有無
ファクタリング会社を選ぶ際の注意点
良い会社を選ぶのと同じくらい、「避けるべき会社」を見極めることも重要です。以下のポイントに1つでも該当すれば、慎重に対応すべきです。
高額手数料・不透明な費用体系に注意
「手数料0%〜」や「今だけ無料!」といった過度に魅力的な広告には要注意です。実際は以下のような落とし穴があるケースがあります。
- 後から別名目で高額請求(事務手数料、紹介手数料など)
- 請求金額に対してではなく、取引額全体に手数料を乗せている
- 隠れ条件がある(継続利用が前提など)
担保・保証人の提示を求められる
ファクタリングは基本的に「無担保・無保証人」で利用できるサービスです。にもかかわらず、不動産や代表者個人の保証を求められる場合は、その会社の信用性に疑問が残ります。
特に以下のケースは注意:
- 売掛債権以外の担保を求められる
- 保証人を立てないと契約できない
契約内容が不明瞭・契約書が存在しない
正式なファクタリング会社であれば、契約前に以下の資料を提示するのが基本です。
- 詳細な見積書
- 契約書類一式(電子契約または書面)
- 契約の重要事項説明書
「口頭契約」「契約書なしで即日振込」といった業者は避けましょう。
売掛先との関係悪化のリスクを把握する
3社間ファクタリングでは売掛先に通知されるため、取引先との信頼関係に影響する可能性があります。通知されることを避けたい場合は、2社間ファクタリングを選択しましょう。
ファクタリング会社の成功事例・失敗事例【実例で学ぶ選び方】
成功事例①:建設業(東京都・法人)
背景:
公共事業の案件で多額の外注費が発生。入金サイトが60日と長く、下請けへの支払いを急ぐ必要があった。
対応:
2社間ファクタリングを専門に扱う会社へ相談し、即日審査・翌日入金を実現。300万円の売掛債権に対し、手数料5%で対応。
ポイント:
- オンラインで事前審査→スムーズに本契約へ
- 手数料や契約条件が明確だった
- 売掛先には通知せず、信用問題なし
結果:
支払い遅延を避けることができ、協力会社との関係を維持。利益率も確保できたため、その後も継続利用中。
成功事例②:IT開発業(大阪府・個人事業主)
背景:
アプリ開発受託後、納品から検収までに45日。フリーランスゆえに手元資金に乏しく、広告出稿と人件費が捻出できない状況。
対応:
個人事業主でもOKのファクタリング会社を選択。審査は必要書類(請求書・通帳コピー・本人確認書類)のみ。
ポイント:
- 小口(50万円)でも対応可能な会社を選んだ
- 電子契約で来店不要
- 実績が少なくても「成長性」を評価してくれた
結果:
資金確保で広告投資が打て、新規受注も獲得。収益拡大につながった。
失敗事例①:運送業(愛知県・法人)
背景:
急な車両修理で100万円の資金が必要に。ネットで見つけた「即日振込可能」のファクタリング会社へ依頼。
問題点:
- 実際の手数料が約30%と高額
- 契約書が電子PDFのみで内容が不明確
- 売掛先に通知され、取引先から信用不安を疑われる
結果:
わずか70万円の入金に。さらに売掛先との関係悪化で次回発注が見送られ、長期的損失に。
教訓:
「即日対応」や「審査なし」の言葉に飛びつかず、事前確認を怠らないことが重要。
失敗事例②:飲食業(福岡県・法人)
背景:
売上減少により資金繰りが悪化。SNSで広告を出していたファクタリング業者に依頼。
問題点:
- 担保として店舗設備の差し押さえ契約を求められた
- 手数料とは別に「紹介手数料」「保証料」などが追加発生
- 審査後に「別会社に債権を移す」と言われ、仕組みが不透明
結果:
予想よりはるかに少ない入金。事実上の高利貸しと変わらない状況に。
教訓:
担保・保証人を求める業者はファクタリングの本質に反しており、絶対に避けるべき。
● 成功・失敗の分かれ目は?
見極めポイント | 成功した企業 | 失敗した企業 |
---|---|---|
手数料の明確さ | ✅ 比較検討済 | ❌ 後から追加 |
契約書の有無 | ✅ 書面あり | ❌ 不明瞭PDF |
売掛先通知管理 | ✅ 非通知選択 | ❌ 通知トラブル |
柔軟な対応 | ✅ オンライン&迅速 | ❌ 対応遅れ・不親切 |
ファクタリング利用の流れ【ステップ別に詳しく解説】
ファクタリングは「売掛金を現金化する」ためのスムーズな資金調達手段です。以下では、初回利用を前提にした実際の流れを6つのステップで詳しく解説します。
STEP①:事前相談・問い合わせ
目的:
自社の状況にファクタリングが適しているかを見極める段階です。
主な方法:
- 公式サイトから問い合わせフォーム送信
- 電話相談(即日希望なら電話推奨)
- LINEやチャット対応を導入している会社もあり
この段階で確認すること:
- 対応エリア(全国/関東限定など)
- 個人事業主対応可否
- 手数料の目安や入金までの目安時間
- 必要書類一覧
✅ ポイント: 最初の対応スピードで「信頼度」がある程度わかる!
STEP②:必要書類の提出
一般的に求められる書類:
種類 | 備考 |
---|---|
売掛先に対する請求書 | 対象となる債権の証明書類 |
通帳の写し | 入出金履歴の確認 |
決算書または確定申告書 | 直近1〜2期分(個人事業主可) |
代表者身分証明書 | 免許証やマイナンバーカードなど |
会社登記簿謄本(法人) | 原則3ヶ月以内発行 |
※オンライン完結型の会社では、PDFや画像での提出も可能です。
STEP③:審査(最短30分〜1営業日)
審査の主なポイント:
- 売掛先企業の信用力(倒産リスクなど)
- 請求書の妥当性と金額
- 取引実績や支払いサイト(回収までの期間)
- 自社の経営状況(大まかな財務内容)
審査通過しやすいケース:
- 売掛先が上場企業や官公庁
- 毎月継続的に請求がある取引
- 債権額が安定しており内容が明確
✅ ポイント: 自社の信用よりも「売掛先の信頼性」が重視されるのが特徴。
STEP④:契約締結
契約方式:
- 書面での押印契約
- オンライン署名(クラウドサイン、DocuSignなど)
確認すべき契約内容:
- 手数料の金額と算定方法
- ノンリコース/リコースの違い(償還請求権)
- 売掛債権の譲渡方法と通知の有無(2社間 or 3社間)
- 入金タイミング・トラブル時の対応
✅ ポイント: 不明点があれば、必ず契約前に質問すること!
STEP⑤:入金(最短即日)
入金までの目安時間:
- 最短:審査通過から2時間以内(即日)
- 通常:契約当日〜翌営業日
入金額の計算例:
請求金額100万円 − 手数料5%(5万円)= 実入金95万円
注意:
- 手数料の控除方法(源泉方式 or 後払い)に注意
- 入金時の振込名義などが「ファクタリング会社名」になるケースあり
STEP⑥:売掛金の回収(3社間は売掛先から直接入金)
- 2社間ファクタリング:
売掛金は従来どおり自社が回収 → ファクタリング会社へ送金
→ 支払遅延が発生した場合、自社の責任となる場合も - 3社間ファクタリング:
売掛先がファクタリング会社に直接支払
→ 信用が求められるが、自社での資金管理が不要
✅ ポイント: 売掛先への通知を避けたい場合は、2社間を選ぶのが基本。
よくある質問(FAQ)
- 1. 銀行融資と比べてファクタリングのメリットは?
-
審査が比較的緩く、スピード重視。信用情報に傷がつかない点も魅力です。
- 2. 個人事業主でも利用可能ですか?
-
可能です。法人に比べて選択肢は狭まりますが、個人事業主向けサービスを提供している会社も増えています。
- 3. 手数料はどれくらいかかる?
-
一般的に3〜20%ですが、会社の規模や信用状況によって変動します。相見積もりをおすすめします。
- 4. 売掛先に通知されることはありますか?
-
2社間ファクタリングなら通知不要です。通知を避けたい場合は2社間契約を選びましょう。
- 5. 税務上の取り扱いは?
-
ファクタリングによって得た資金は売上ではなく資産の売却として扱われます。会計処理については税理士に相談を。
まとめ
ファクタリング会社を利用することで、資金繰りの課題をスピーディに解決できる可能性があります。しかし、業者選びを誤ると高額な手数料やトラブルの元になりかねません。
- 信頼性のある会社を選ぶ
- 手数料や契約条件を確認
- 口コミや評判も参考にする
上記の点を押さえ、自社にとって最適なファクタリング会社を見つけましょう。