ノンリコースファクタリングとは？仕組み・メリット・リスク・注意点まで徹底解説！

資金調達において「借りない」手段として注目されるファクタリング。中でも、ノンリコースファクタリングは、未回収リスクを完全に回避できる手法として人気を集めています。

この記事では、「ノンリコースファクタリングとは何か？」という基本から、リコースとの違い、導入メリット・注意点、FAQまでを詳しく解説。中小企業やスタートアップ、建設業やIT業など多様な業種の経営者に役立つ情報をお届けします。

ノンリコースファクタリングとは？

ノンリコースファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却した際に、その後の回収不能リスクを一切利用者が負わない契約形態を指します。

つまり、売掛先が倒産・支払い不能に陥った場合でも、ファクタリング会社がその損失を全て負担する仕組みです。契約時に「償還請求権を行使しない＝ノンリコース」と明記されていることが重要です。

ノンリコース（償還請求権なし）とリコース（償還請求権あり）の違いを徹底解説

ノンリコース（Non-Recourse）＝償還請求権なし

ノンリコース契約では、売掛債権の回収が不可能となっても、ファクタリング会社がすべての損失を引き受けます。売却した利用企業は返済義務を負わず、資金調達後のリスクから解放されます。

主に、売掛先が大企業や公共団体など、信用力が高い場合に採用されます。

特徴

• 売掛先の倒産による未回収リスクをファクタリング会社が負担
• 売却企業は返済義務なし
• 手数料は高め（5〜20%）
• 審査が厳格（売掛先重視）
• オフバランス化が可能なケースもあり

リコース（With Recourse）＝償還請求権あり

リコース契約では、売掛債権が回収できない場合、ファクタリング会社は利用企業に対してその分の返済を請求することができます。リスクは完全には移転されません。

比較的手数料が低く、導入ハードルも低いため、資金繰りに悩む中小企業がよく利用します。

特徴

• 未回収時に利用企業に返済義務が発生
• 手数料は低め（1〜10%）
• 利用企業の信用力が重視される
• オフバランス化は不可
• 対応企業・業種は幅広い

違いを表で比較

比較項目	ノンリコース（償還請求権なし）	リコース（償還請求権あり）
未回収時の責任	ファクタリング会社が負担	利用企業が負担
手数料	高め（5〜20%）	低め（1〜10%）
審査重視ポイント	売掛先の信用力	利用企業の信用力
財務処理	オフバランス可能	原則オンバランス
対応企業数	限られる	多い
リスク	利用企業はゼロ	利用企業に一部残る

ノンリコースファクタリングのメリット

1. 未回収リスクを完全に回避できる
   　倒産・支払遅延などによるキャッシュフローの崩壊リスクがゼロになります。
2. 財務改善が可能（オフバランス）
   　会計上、債権を売却したことになるため、資産を圧縮できます。
3. 銀行融資と併用可能
   　信用情報に影響を与えず、融資枠を温存したまま資金確保が可能です。
4. 迅速な資金調達ができる
   　最短即日〜数営業日で資金が振り込まれ、急な支払いにも対応できます。

デメリットと導入上の注意点

• 手数料が高くなりがち
  　ノンリコースはリスクをファクタリング会社が引き受けるため、コストは高めに設定されます。
• 売掛先の信用力が必要
  　与信調査の結果次第では、ノンリコースでは対応不可とされることもあります。
• 対応する業者が限られる
  　すべてのファクタリング会社がノンリコース契約に対応しているわけではありません。

導入時のチェックポイント

• 契約書に「償還請求権なし（non-recourse）」の記載があるか？
• 債権譲渡登記の有無は？
• 売掛先への通知（3社間）or非通知（2社間）か？
• 手数料体系に不明点はないか？
• オフバランス処理について税理士に確認したか？

活用事例

事例①：建設業（取引先：上場ゼネコン）

長期案件の資金繰りが悪化。売掛先の信用力が高く、ノンリコースファクタリングで1,000万円を即日調達。未回収リスクもなく、安心して設備投資へ。

事例②：IT企業（取引先：公共団体）

売掛金の支払サイトが90日と長期化。運転資金の確保を目的に、ノンリコース型を活用。償還請求権なしでリスクゼロの資金化に成功。

よくある質問（FAQ）

1. ノンリコース契約かどうかはどう確認する？

→ 契約書に「non-recourse」「償還請求権なし」と明記されていることを必ず確認してください。

2. ノンリコースファクタリングは誰でも使える？

→ 売掛先の信用力が高ければ利用可能ですが、審査基準は厳しいため注意が必要です。

3. 手数料はどのくらい？

→ ノンリコースでは5〜20%が一般的ですが、売掛先や取引金額によって変動します。

4. ノンリコースとリコース、どちらがよい？

→ リスクを取りたくないならノンリコース、コストを重視するならリコース型が適しています。

5. 契約後に売掛先が倒産したらどうなる？

→ ノンリコースであれば、ファクタリング会社がすべての損失を引き受け、利用企業に請求は来ません。

6. ノンリコースファクタリングは2社間でも可能？

→ 可能ですが、リスクが高いため対応している会社は限られます。3社間での利用が一般的です。

7. 会計処理での注意点は？

→ ノンリコース型は条件を満たせばオフバランス処理が可能ですが、必ず税理士の確認を受けましょう。

まとめ

ノンリコースファクタリングは、債権回収不能リスクを回避したい企業にとって、非常に有効な資金調達手段です。特に、売掛先の信用が高く、オフバランス処理を望む企業にとっては大きなメリットがあります。

一方で、高い手数料や導入のハードルもあるため、リコース型と比較しながら自社に合った方式を選ぶことが大切です。

契約書の内容確認と、信頼できるファクタリング会社の選定をしっかり行いましょう。