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債権譲渡登記とは?仕組み・必要性・ファクタリングとの関係、メリット・デメリットまでわかりやすく解説

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目次

債権譲渡登記と資金調達の実務

企業経営において「資金繰り」を円滑に進めるための方法のひとつがファクタリング(売掛債権の資金化)です。このファクタリングで重要な役割を果たすのが債権譲渡登記ですが、「名前は知っているが具体的にどう活用するのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、

  • 債権譲渡登記の仕組みと必要性
  • ファクタリングの資金調達との関係
  • 実務でのメリット・デメリット
  • 登記の具体的な流れ
  • よくある質問(FAQ)
    までわかりやすく解説し、実務で役立つ具体的な知識を提供します。

債権譲渡登記とは?

債権譲渡の基本

「債権譲渡」とは、企業が保有する売掛金(売掛債権)などの債権を、他者へ譲り渡す行為です。
例えば取引先へ製品を納品し、後日支払われる代金を第三者(金融機関やファクタリング会社)に譲渡し、代わりに資金を受け取ることで即時の資金調達が可能となります。

債権譲渡登記の仕組み

債権譲渡を行う場合、第三者(他の債権譲受人や債務者の差押債権者など)に対抗するためには、

  • 債務者への通知
  • 債務者の承諾
  • 債権譲渡登記
    のいずれかが必要になります。

「債権譲渡登記」とは、法務局へ登記を行うことで第三者対抗要件を備え、債権譲渡の効力を確定させる制度です。

法的根拠

平成10年に施行された債権譲渡登記法に基づき、

  • 譲渡契約の成立
  • 登記申請
  • 登記完了証の交付
    の流れで登記が行われます。

ファクタリングと債権譲渡登記の関係

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社へ売却することで早期資金化を図る資金調達方法です。

  • 2社間ファクタリング
     債務者への通知を行わず、債権譲渡登記で対抗要件を備えるケースが多い。
  • 3社間ファクタリング
     債務者へ通知・承諾を得て譲渡するケースが多い。
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債権譲渡登記が使われる理由

ファクタリングにおいて「取引先に資金調達の事実を知られたくない」ケースでは、通知の代わりに債権譲渡登記を行い、対抗要件を確保します。

さらに、ファクタリング会社は登記を行うことで二重譲渡リスクを回避できるため、債権譲渡登記はファクタリング実務で重要な役割を担っています。

ファクタリング利用のメリット・デメリット

メリット

即日・短期資金調達が可能
売掛金の回収を待つことなく即時資金化できる。

借入ではないため信用情報に影響しない
ファクタリングは売買契約であり、負債計上されない。

保証人・担保不要で利用可能
金融機関融資と異なり、保証人や不動産担保を求められない。

資金使途の制限がない
運転資金・仕入資金・税金支払いなど自由に活用可能。

二重譲渡防止・回収権の確保(登記の活用)
登記を行うことでファクタリング会社は債権回収権を守れる。

デメリット

⚠️ 手数料が発生する
ファクタリング手数料(売掛金額の1〜20%程度)が発生する。

⚠️ 取引先の信用調査が行われる
売掛先の信用力によって利用可否・手数料が変動する。

⚠️ 二重譲渡のリスク
債権譲渡登記を行わない場合、二重譲渡のリスクが残る。

⚠️ 情報が公開される可能性
債権譲渡登記は誰でも閲覧可能であり、利用が判明する可能性がある。

債権譲渡登記の手続きの流れ

1. 登記申請書類の準備

  • 債権譲渡契約書
  • 譲渡人・譲受人の印鑑証明書
  • 委任状(代理申請時)

2. 登記申請

所轄の法務局(東京法務局の民事第二部)へ提出。
電子申請にも対応。

3. 登記完了証の受領

登記完了証を受領後、第三者対抗要件が成立します。

登録免許税

債権譲渡登記には1件7,500円の登録免許税がかかります。

債権譲渡登記の抹消

債権譲渡登記は、譲渡契約が終了した際に抹消登記を行う必要があります。抹消しないと信用調査時に影響が出る可能性があります。

ファクタリング活用時のポイント

✅ 取引先に知られず資金調達する場合は登記利用を検討
✅ 二重譲渡防止のため登記活用はファクタリング会社にもメリット
✅ 手数料だけでなく、資金調達スピードや経営の透明性も加味して選択

債権譲渡登記に関するよくある質問(FAQ)

1. 債権譲渡登記は誰でも行えますか?

法人・個人問わず可能ですが、書類作成や手続きに専門知識が必要なため、司法書士・弁護士へ依頼するのが一般的です。

2. 債権譲渡登記を行わなくてもファクタリングは可能?

可能ですが、通知または承諾による対抗要件確保が必要です。通知を避けたい場合は登記が必要になります。

3. どの法務局で手続きするのですか?

債権譲渡登記は東京法務局民事第二部(登記所)で全国一括管理されています。

4. 登記情報は公開されますか?

公開され、第三者が登記簿を閲覧可能です。信用調査時に取引先が把握する可能性があります。

5. ファクタリング手数料の目安はどれくらい?

1%〜15%程度が相場で、取引額・取引先の信用力・契約内容によって変動します。

6. ファクタリングと借入のどちらが良い?

借入ではなく売掛債権の売買のため、信用情報への影響を避けたい場合や即資金化したい場合はファクタリングが適しています。一方で、コスト面では借入の方が安い場合があります。

7. どのような場面でファクタリングを利用すべき?

税金・社会保険料の支払い、急な仕入れ資金の確保、資金ショート防止など、迅速な資金調達が必要な場面で活用されます。

8. ファクタリングを利用すると取引先との関係に影響しますか?

3社間ファクタリングでは通知が必要なため知られる可能性がありますが、2社間で登記を利用することで通知なしで資金化が可能です。

まとめ|債権譲渡登記とファクタリングで資金調達を強化する

債権譲渡登記は、
✅ 取引先に知られずに売掛債権を資金化したい
✅ ファクタリング利用時の対抗要件を確保したい
✅ 二重譲渡リスクを回避したい
場合に非常に有効な手段です。

一方で、登記情報の公開・手数料・抹消登記など注意点もあるため、専門家へ相談しつつ資金調達手段として活用することが重要です。

ファクタリングと債権譲渡登記を正しく理解し、資金繰りの武器として活用しながら、安定した経営基盤を築いていきましょう。

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