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ウィズリコースとは?ノンリコースとの違い・リスク・資金調達での実務活用を徹底解説

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ウィズリコース(With Recourse)とは、ファクタリングや債権譲渡契約において、売掛債権が回収不能となった場合でも、債権を譲渡した側がその債務を負う契約形態のことを指します。これは、資金調達の実務において非常に重要な概念であり、特に中小企業が利用する際には契約内容を正確に理解しておく必要があります。

対義語にあたるのがノンリコース(Non-Recourse)契約であり、こちらは回収不能時でも売主が責任を負わない形式です。この違いは、企業の資金繰りやリスクマネジメントに直結するため、十分な比較と検討が必要です。

目次

ウィズリコースの基本的な仕組みと特徴

ウィズリコース契約は、日本語で「償還請求権あり」と訳され、債権が回収不能となった際に、ファクタリング会社が債務を譲受人(債権を売却した企業)に請求できる権利を保有する契約です。たとえば、ある企業がファクタリングで100万円の売掛債権を売却し、資金を得たとします。ところが、売掛先の企業が倒産し、100万円が未回収のままとなった場合、その損失分を譲渡側がファクタリング会社に返済しなければなりません。

この形式のファクタリングは、ファクタリング会社にとってリスクが少ないため、手数料が安く抑えられる傾向にあります。企業側にとってはリスク負担を背負う代わりに、資金化のスピードや柔軟な審査という利点が得られる点が特徴です。

ノンリコースの契約構造と企業側のメリット

一方、ノンリコース契約では、売却した債権が回収できなくても、債権譲渡人(売主)に責任は発生しません。売掛債権のリスクを完全にファクタリング会社が引き受ける契約です。そのため、企業にとっては財務リスクを大幅に軽減でき、**オフバランス化(貸借対照表からの債権削除)**が可能となるケースもあります。

ただし、ファクタリング会社にとっては損失リスクが大きいため、ノンリコース契約を成立させるには、売掛先の信用力が高い必要があり、審査は非常に厳格です。加えて、リスク込みの手数料が設定されるため、利用コストはウィズリコースより高くなるのが一般的です。

ウィズリコースとノンリコースの違いを徹底比較

以下に、ウィズリコースとノンリコースの相違点を実務視点でまとめます:

項目ウィズリコースノンリコース
契約の意味償還請求権あり償還請求権なし
リスク負担者譲渡人(売主)ファクタリング会社
債権未回収時の対応売主が返済義務売主の返済義務なし
審査の厳しさ緩やか厳格
手数料低め(2〜10%)高め(10〜30%)
対象債権広範囲(中小・新興企業も対応)信用力の高い企業に限定

このように、**「手数料が安い代わりにリスクを取るウィズリコース」と、「手数料が高くてもリスクを排除できるノンリコース」**という構図が基本です。

資金調達における実務的な選び方

企業がどちらの契約を選ぶべきかは、「資金調達の目的」と「売掛先の信用力」によって異なります。

  • 売掛先の支払い能力に疑問がなく、短期的な資金需要で手数料を抑えたい場合は「ウィズリコース
  • 財務諸表を健全に保ちたい、債権リスクを完全に排除したい場合は「ノンリコース」

また、金融機関への提出資料や資金調達計画において、「ノンリコースであること」がプラスに働く場面もあるため、経営戦略と照らし合わせた選択が重要です。

ウィズリコースが選ばれる具体的な場面とは?

ウィズリコース契約は、以下のような場面で多く利用されています:

  • 融資以外の方法で資金繰りを改善したい中小企業
  • スタートアップ企業や個人事業主が即日現金化したいケース
  • 銀行の与信審査に通過できない企業
  • 税金滞納や赤字決算でも利用可能な調達手段が求められる場合

ウィズリコース契約時の注意点

ウィズリコース契約を締結する際には、以下のポイントを必ず確認しましょう。

  1. 契約書に「償還請求権の有無」が明記されているか
  2. 回収不能時の対応フローや返済条件が明確か
  3. 売掛先の信用調査を自社でも行っておく
  4. 手数料以外に発生する追加コスト(違約金など)の有無

契約内容が不明瞭なファクタリング業者は避け、金融庁登録や商工会議所推奨の事業者を選ぶのがベストです。

FAQ|ウィズリコースに関するよくある質問

ウィズリコース契約で、売掛先が倒産したらどうなりますか?

回収不能分を契約者(売主)がファクタリング会社に返済する義務があります。事前に債権の信頼性を見極めることが重要です。

2. ウィズリコースの手数料はなぜ安いのですか?

リスクをファクタリング会社が負わないためです。コストを抑えた資金調達が可能ですが、リスクもあるため注意が必要です。

3. 契約形式は自分で選べますか?

多くの場合はファクタリング会社から契約条件が提示されますが、事前に希望形式を伝えることで柔軟に対応してくれる業者もあります。

4. ノンリコース契約は安全ですか?

リスクを排除できる点では安全性が高いですが、手数料が高く、利用条件が厳しいため、全ての企業に向いているとは限りません。

5.どちらの契約形式か、どうやって見分ければいい?

契約書の条項に「償還請求権の有無」が記載されているはずです。業者との事前確認も重要です。

まとめ|ウィズリコースを理解して最適な資金調達を実現しよう

ウィズリコースとノンリコースは、どちらもファクタリングや債権譲渡における重要な契約方式です。中小企業や資金繰りに悩む個人事業主にとって、ウィズリコースは柔軟で即応性の高い資金調達手段として非常に有効です。

ただし、契約内容や売掛先の状況を正しく理解しなければ、後々トラブルに発展する可能性もあります。自社にとって最もリスクとコストのバランスが取れる手段を選択するために、「ウィズリコースとは何か?」を正しく理解し、納得のいく契約を締結しましょう。

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