ファクタリングの審査通過率は70%前後といわれています。
審査に落ちないためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
本記事では、ファクタリング審査に落ちる理由と、審査をクリアする考え方について解説します。
ファクタリングにより資金調達を検討している事業者の参考となれば幸いです。
そもそもファクタリング審査の通過率はどれくらい?
ファクタリングの審査の通過率はおおむね70%前後といわれています。一方で、日本政策金融公庫における融資の審査通過率は50~60%とされています。そのため、ファクタリングは金融機関の審査より通りやすいのが一般的です。
大手のファクタリング会社のサイトを見ると、なかには審査通過率が90%以上と謳っていることがあります。これは、「掛け目」の存在があるからです。
例えば、100万円の売掛債権をファクタリング会社が買い取った際に回収確実と判断した場合、掛け目が高くなります。一方、回収に懸念があると判断した場合、低い掛け目で買い取ります。掛け目の割合にかかわらず、審査に通ったことには変わりありません。審査率が高く表示されるのはそのためです。
ファクタリング審査に落ちる理由
ファクタリングの審査に落ちる理由には以下の3点が考えられます。
- 売掛先が原因で落ちる場合
- 売掛金が原因で落ちる場合
- 利用者が原因で落ちる場合
それぞれについて深掘りしていきます。
売掛先が原因で落ちる場合
売掛先に問題があり審査に落ちるケースがあります。理由として、経営状況が悪い場合や、個人事業主であったり、あるいはペーパーカンパニーであったりする場合です。
経営状況が悪く倒産のリスクがある
売掛先の経営状況が悪い場合や倒産のリスクがある場合、ファクタリングの審査に落ちてしまうことがあります。
ファクタリング会社は買い取った売掛金が無事に回収できるのかについて審査します。経営状況が悪いと、買い取った売掛金が未回収となり、ファクタリング会社が損失を被るためです。
通常、ファクタリング会社は、利用者との間で、「償還請求権」をつけない契約を交わすのが一般的です。
つまり、売掛先が倒産等により売掛金が回収できない場合、代わりに利用者に売掛金を請求しない契約を締結しています。売掛先の経営状況が悪い場合、未回収リスクが高くなり、ファクタリング会社は未回収のリスクを負うことになります。
そのため、ファクタリング会社は、売掛先が安心して回収できるかどうかを、業績等を勘案して審査の可否を決定しなければなりません。
売掛先が個人事業主やペーパーカンパニー
売掛先が個人事業主やペーパーカンパニーである場合も、審査に落ちる確率が高くなるので注意が必要です。
個人事業主の場合、法人と比べて事業規模が小さいのが一般的で、回収できる確率が法人より低く見られることがあります。また、ファクタリング会社が企業調査を行うにあたって、事業に関する資料が手に入らないことがあるため、法人同様の調査が難しくなります。
売掛先がペーパーカンパニーと疑われる場合、登記上は法人ではあるものの、事業実態がないため、審査に通らないことが考えられます。
ペーパーカンパニーの設立目的が、税金逃れであったり、犯罪利用のためだったりする恐れが高いため、ファクタリング会社は、積極的に審査を行わないのが一般的です。
売掛金が原因で落ちる場合
売掛先に問題がなくても、買い取ってもらう売掛金に問題がある場合も審査に落ちるケースがあります。理由として、次の3点が考えられます。
- 支払いサイトが長い
- 売掛金の金額が利用可能な最低金額を下回っている
- 二重譲渡の疑いがある
支払いサイトが長い
売掛金の支払い期日が長い場合、審査に落ちる場合があるので注意しなければなりません。
ファクタリング会社にとって、支払いサイトが長いことは、入金までの期間が長いことを意味します。
入金までの期間が長いと、入金期日までに売掛先の信用状況が急激に悪化することも考えられます。売掛先が入金期日前に倒産することもあるかもしれません。売掛先が倒産すると、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなります。
そのため、ファクタリング会社の審査において、短いサイトの売掛金の方が審査に有利となるといえます。申込会社が、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらう場合、支払期日が1~2ヶ月先の売掛金を、ファクタリング会社に買い取ってもらうのがいいでしょう。
売掛金の金額が利用可能な最低金額を下回っている
通常ファクタリング会社は、買取可能金額を設定し、最低金額や上限金額を自社のサイトで表示していることがあります。
売掛金の金額が最低金額を下回っている場合、審査に通りません。
例えば、買取最低金額が100万円としているファクタリング会社に、申込会社が30万円の売掛金を買い取ってもらいたいと考えても、ファクタリング会社は応じてくれません。
ファクタリングを利用する場合、利用可能金額を確認してファクタリング会社を選びましょう。
二重譲渡の疑いがある
二重譲渡の疑いがある場合も、審査に通りません。
二重譲渡とは、すでにファクタリングにより現金化されている売掛金を、別のファクタリング会社に申込み、二重で現金化する行為です。ひとつの売掛金を複数のファクタリング会社で買い取ってもらう行為で、二重譲渡は不正な資金調達方法です。
二重譲渡は違法行為であり、仮にファクタリング会社の審査に通ったとしても、売掛金を入金するときに必ずバレてしまいます。
二重譲渡により、ファクタリング会社から刑事告訴される可能性があり、告訴された場合、利用者は、刑事罰を受けることになるでしょう。利用者の信用は失墜し、事業を続けることが困難となります。
二重譲渡は犯罪ですので、絶対に行わないようにしてください。
利用者が原因で落ちる場合
通常、ファクタリング会社の審査は売掛先がメインですが、利用者が原因で落ちるケースもあります。利用者が以下に該当する場合、審査に落ちる恐れもありますので注意しましょう。
- 面談時の態度や人柄が悪い
- 取引実績が少なく信頼性に欠ける
- 個人事業主である
面談時の態度や人柄が悪い
利用者の面談時における態度や、人柄が悪いとファクタリング会社が判断した場合、審査に落ちる場合があるので注意が必要です。ファクタリング会社は、申込会社の代表者が信頼できる人物であるかも売掛先の審査同様にチェックしています。横柄な態度であったり、必要書類の提出期限を守らなかったりする場合、ファクタリング会社は、後々トラブルが発生するリスクを恐れて取引を見合わせることも考えられます。
特に、2社間ファクタリングの場合、申込会社は売掛金をファクタリング会社に入金しなければなりません。申込会社の代表者の態度や人柄に疑問を感じた場合、ファクタリング会社は持ち逃げ等のリスクも考える必要が出てきます。
代表者は、面談には丁寧な対応を心がけ、ファクタリング会社との信頼関係が築けるようにしましょう。
取引実績が少なく信頼性に欠ける
売掛先との取引実績が少ない場合も、信頼性に欠けると判断され、ファクタリング審査に通らない場合もあります。
通常、ファクタリング会社は、3ヶ月~6ヶ月分の通帳のコピーを求めるのが一般的です。申込会社が売掛先と今までどのような取引をしているのかをチェックするためです。
申込会社が買取を希望する売掛先が、今まで通帳の取引履歴に出てこない場合、取引実績が浅いと判断します。
また、申込会社が売掛先と結託して架空取引を行い、現金を手に入れるといった詐欺行為もファクタリングに横行しています。
ファクタリング会社は詐欺行為にあわないよう、申込会社と売掛先との取引内容を丹念に調査するのが一般的です。
審査に通るためには、長年取引実績のある売掛先の売掛金を買い取ってもらうようにしましょう。
個人事業主である
申込人が法人でなく、個人事業主の場合も審査に通らない場合があるので注意が必要です。
個人事業主は、法人に比べ信用度が低く、売掛金の持ち逃げ等、未回収リスクが法人に比べ高いと考えられているため審査が厳しくなります。
売掛先も、個人事業主や中小零細企業のケースが多いため、売掛先の倒産するリスクや、期日に未入金となるリスクが大手企業より高いと考えられます。
そのため、申込人自体に問題がなくても、個人事業主というだけで審査に通らないケースがあるので注意しなければなりません。
ファクタリングの審査基準とは?
ファクタリング会社は、審査基準として、どのような点を重視しているのでしょうか。審査基準として以下の3点があります。
- 売掛先の信用度
- 売掛金の回収の確実性
- 申込人の信用力
売掛先の信用度として、経営状況や納税状況、不渡等金融面での不安がないかどうかで審査判断をします。また、売掛先が個人事業主の場合、法人より厳しく審査するのが一般的です。
売掛金の回収の確実性も審査基準として重視しています。注意点として、意図的な二重譲渡や、架空取引に加担した取引は犯罪となるので、絶対に行ってはいけません。
申込人の態度が横柄であったり、ファクタリング会社から求められた書類等の準備が遅かったりする場合、人物的に信用がないとファクタリング会社が判断する場合があります。
売掛先や売掛債権に問題がなくても審査に通らないこともあるので、注意が必要です。
ファクタリングの審査にどこも通らない企業が気をつけるべきポイント
ファクタリング会社に申込みを行うものの、どこも審査に通らない企業は、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
以下の4点に気をつけることをおすすめします。
- 信用度の高い売掛債権を利用する
- 支払いサイトが短い売掛債権を利用する
- 面談時の対応に気をつける
- 要求された書類を提出し実在する債権であることをアピールする
信用度の高い売掛債権を利用する
ファクタリング会社は審査において、売掛先の信用度を重視します。信用度が高いほど、未回収リスクが低くなるとファクタリング会社は考えるからです。
具体例として、売掛先が上場企業や公的機関である場合、売掛金の未回収リスクが極めて低いとファクタリング会社は判断するため、審査に通りやすくなります。一方で、売掛先の経営状況が芳しくないとファクタリング会社が判断した場合、審査が厳しくなり、場合によっては通らない恐れもあるので注意しましょう。
銀行融資は申込会社の信用度を重視します。申込会社が赤字決算や債務超過等、決算状況に不安な点があると、審査が厳しくなるのが一般的です。
一方でファクタリングの審査は、売掛先の信用状況を重視するため、申込会社は信用度の高い売掛債権をファクタリング会社に提示し買い取ってもらうことが大切です。
支払いサイトが短い売掛債権を利用する
申込会社がファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらう場合、支払いサイトが短い売掛債権をファクタリング会社に提示することが重要です。支払いサイトが長い場合、未回収リスクが高くなるからです。
支払いサイトが長い場合、売掛先の経営環境が急激に変化することで、売掛先が倒産する恐れがあります。売掛先が倒産すれば、ファクタリング会社は回収不能となり、損失を被る恐れがあります。
申込会社は、支払いサイトの短い売掛債権を利用するのがファクタリングの審査に通る近道といえそうです。
面談時の対応に気をつける
面談時の対応に気をつけることも審査に通るためにとても重要です。ファクタリングの申込において、態度が悪かったり、面談時のファクタリング会社に正確に答えなかったりすると、ファクタリング会社への心証は悪くなります。
たとえ売掛先の信用状況や買取予定の売掛金に問題がなく、申込会社の信用状況にも問題ない場合であって、申込人の対応が芳しくない場合、審査に落ちる可能性が高いです。
ファクタリング会社は、売掛先や売掛金だけでなく、申込人も注意深く観察しています。悪い印象を与えることのないよう、ファクタリング会社での面談には注意して臨むようにしましょう。
要求された書類を提出し実在する債権であることをアピールする
要求された書類を提出することで、提示した売掛金が実在する債権であることをアピールすることも審査に通るためには重要です。
実在する売掛債権であることを証明するには、一般的に以下の書類を提示します。
- 売掛先との売買契約書
- 個別契約書
- 請求書
- 受注書
- 納品書
- 見積書
ファクタリング会社は、架空の取引により損失を被るリスクを極力抑えるために、さまざまな書類を求めます。
特に申込会社が、取引が始まって日が浅い新規先の売上債権を買い取ってもらう場合、架空の債権でないことをアピールすることはとても重要です。
同時に、実在する売掛債権であることを示す書類の提出は、ファクタリング会社への信頼を高めることにもつながる点にもなります。
審査の通過率が高いファクタリング会社のおすすめ
ここでは、審査の通過率の高いファクタリング会社3社を紹介しますので、参考にしてください。
- ネクストワン
- エスコム
- 三共サービス
ネクストワン
(引用:ネクストワン)
ネクストワンは資金調達率の成功率が96%を誇る法人限定のファクタリング会社です。
オンラインで手続きが可能なため、最短即日で現金化もできます。
弁護士ドットコムが運営している、クラウドサインを電子契約サービスとして導入しており、セキュリティ面においても安心して利用可能です。
利用可能限度額が30万円〜となっており、上限はありません。高額売掛債権を取り扱っている会社も安心して利用できます。
手数料は5%~10%で、3社間ファクタリングでは1.5%~8%とリーズナブルな設定となっています。
他社からの乗り換えキャンペーンを実施しており、平均10%の手数料が安くなるので、手数料の見直しを検討している事業者はこの機会にぜひネクストワンを検討されてはいかがでしょうか。
エスコム
(引用:エスコム)
エスコムは日本全国を対象エリアとしている大阪が本社のファクタリング会社です。法人専門で、利用している業種も建設業からコンサル業まで幅広く対応しています。
手数料は2社間ファクタリングの場合5%〜12%、3社間ファクタリング会では1.5%~で、良心的な設定です。
取扱金額は30万円~1億円でありますが、上限金額は限度額ではないので、高額債権に関しても利用が見込まれます。
Webサイト内で、手持ちの売掛金、必要な資金額を入力するだけで簡単に見積りのシミュレーションが可能です。利用を検討している経営者にとっては、見積りが試算されるので、資金繰りの目安となります。
三共サービス
(引用:三共サービス)
三共サービスは、2001年設立のコンサルティング業務を兼務しているファクタリング会社です。最短翌日の現金化が可能で、急な出費にも安心です。
利用額は50万円~1億円で高額債権にも対応しています。手数料は2社間ファクタリングの場合5%~10%、3社間ファクタリングでは1.5%~8%の設定となっています。
金融業界に精通したスタッフが在籍しているため、さまざまな経営状況にマッチした最適なアドバイスを提案することが可能です。
サイト内では、先週の実績(問い合わせ件数・契約件数)を表示しており、利用を検討している事業者にとっては参考となるでしょう。
初回事務手数料無料キャンペーンを行っており、手数料を少しでも抑えたいと考えている事業者にはおすすめです。